文学は、時代を問わず大衆の娯楽でした。 その中でも恋愛小説は揺るがない人気があり、イギリスではシェイクスピアの『ロミオとジュリエット』や、E・ブロンテの『嵐が丘』といった名作が生まれています。今回取り上げる作家・オースティンの代表作『... あなたはミステリ小説を読むとき、自分でも推理を楽しみたい派ですか? もしそうなら、今回ご紹介する『まだらの紐』(短編集『シャーロック・ホームズの冒険』収録作品)はオススメの作品です! 何度読んでもおもしろいのがシャーロッ... 旅に出たいと思っても、すぐには難しいことってありますよね? まさに今、新型コロナウイルスの流行で歯がゆい思いをしている方も多いのではないでしょうか。 そんなときは「旅気分を味わえる文学作品を手にとる」という方法でストレスの発散をオスス... あなたは、自分の人生に自信を持って歩めていますか? 自分の人生に起こったことや手に入らなかったものを思って、前向きになれないままでいるという人もいるかもしれません。 そんなあなたにぜひ読んでいただきたい作品の一つが、今回ご紹介す... 年に一度のクリスマス。クリスマスが近づくと、宗教などに関係なく、どこか特別な気分になってきます。 そんなクリスマスですが、今年はクリスマスを題材にしたミステリを読んで過ごしませんか? 今回はホームズシリーズの中でも、クリスマスシ... ミステリといえば、不可思議な記号やメッセージを読み解く「暗号もの」が人気です。 ホームズシリーズにも言わずと知れた暗号ものがあり、人気知名度ともに高いその作品が、今回ご紹介する『踊る人形』(短編集『シャーロック・ホームズの帰還』収録)... 『踊る人形』のあらすじや感想、トリビアを解説(ネタバレ有)シリーズでは珍しい「暗号もの」の傑作!, 『青いガーネット』のあらすじや感想、トリビアを解説!クリスマスシーズンにぴったりのホームズ短編, 『最後の事件』のあらすじや感想、聖地の解説(ネタバレ有)!モリアーティー教授とホームズの運命は…?, 『まだらの紐』のあらすじや考察、トリックを解説!作者コナン・ドイルが最も愛したシャーロック・ホームズ短編. この記事は 約4分 で読めます。 Elementary Chapter. 『最後の事件』の感想・考察(ネタバレ有) ここからは、本作に関する考察を含めた感想を述べていきたいと思います。 なお、記事の構成上ネタバレ要素が含まれていますので、未読の方はぜひ作品を読んでから先を読み進めてください。 熱狂的な読者がもたらした「ホームズの死」 ホーム� 最後の事件に挑むために、ホームズがどうしても訪れなければならなかった日本で、ホームズを案内するウメザキに『ラスト サムライ』などで数々の賞に輝き、国際的にも活躍する真田広之。実はホームズと因縁の過去を持つ男をミステリアスに演じた。マンロー夫人の息子で、ワトスンの著� アーサー・コナン・ドイル『シャーロック・ホームズの事件簿【新版】』の感想・レビュー一覧です。電子書籍版の無料試し読みあり。ネタバレを含む感想・レビューは、ネタバレフィルターがあるので安 … シャーロック・ホームズの不均衡。妹が解いて兄が自説しつつ代弁するみたいな、正にホームズとワトソン。推理やトリックよりも、結構ハードボイルド的な銃撃戦の印象が濃く残った。政府とかも絡んで人もバッタバッタ死んで’処理される。’ホンワカ兄妹推理物でなかった。 『最後の事件』のあらすじや感想、聖地の解説(ネタバレ有)!モリアーティー教授とホームズの運命は…? イギリス文学. 短編56編、長編4編からなる、シャーロック・ホームズシリーズ。 その長い歴史の中に、空 … エレメンタリー 7 第12話「ホームズ最後の事件」【あらすじ感想】 Elementary. 【無料試し読みあり】「シャーロック・ホームズの事件簿」(コナン・ドイル 延原謙)のユーザーレビュー・感想ページです。ネタバレを含みますのでご注意ください。 netflix映画『エノーラ・ホームズの事件簿』 「推理小説」として100年以上に渡り愛される小説シリーズ「シャーロック・ホームズ」。 現代に舞台を変えたドラマシリーズ「sherlock」や老齢のホームズが主人公の『mr.ホームズ 名探偵最後の事件』(2016)など、手を変え品を変え様々な形で映 … ジャンプSQ(スクエア)2021年2月号に掲載の憂国のモリアーティ第54話「最後の事件第七幕(The Final Problem Act.7)」の感想です。本誌のネタバレがありますので未読の方はご注意ください。前回のあらすじ計画を最終段階に なお、記事の構成上ネタバレ要素が含まれていますので、未読の方はぜひ作品を読んでから先を読み進めてください。, ホームズ人気にうんざりしたドイルは、彼を文字通り葬り去ることを決意します。ホームズは逃避行を続けた果てに、最大の敵とともにライヘンバッハの滝に落ちて亡くなるのです。, この展開は、今読んでもかなり衝撃的ですが、連載当時の読者の受けた衝撃は相当なものだったと思います。, 現代の私たちはこの後もシリーズが続くことをすでに知っていますし、続きもすぐに読むことができます。ただ当時は、もうこれで終わりと言われているわけですから、それはもう計り知れない喪失感です。, 街には喪章をつけて歩く人まで現れ、当然ながら編集部には抗議の手紙が殺到しました。ホームズを殺した作者ドイルに対する不満をぶつけた、容赦ないものもあったようです。, ホームズはロンドンに住んでおり、かなりリアルに描かれた存在だったわけですから、本当に実在の人物が死んでしまったような感覚になった人もいたのかもしれません。, 熱烈な読者の喪失感はわからないでもないですが、一方でドイルに対しては少し酷な気もします。普通それほどの人気作品なら、書けるだけ書くものだと思いますし、終わらせるにしても主人公を殺すようなことはしないでしょう。, それでもそんな形で終わらせる道を選んでいるわけですから、「作者の人、だいじょうぶかな?何かあったのかな?」と誰か気遣ってくれてもいいようなものです。, おそらく手紙を書いた人たちは、「ホームズのファンであって作者のファンではない」というタイプだったのかなと思います。, 大変皮肉ですが、ホームズの死はこの熱狂的な読者がもたらしたものだったと言えます。のちにドイルが「僕がホームズを殺さなかったら、きっと彼が僕を殺していた」と話していることからも、ホームズ人気がもたらす圧力は相当なものだったのでしょう。, 作品を愛するファンの思いが作者のドイルを追い込み、人気者の主人公・ホームズの死につながってしまったのです。自分のやりたい仕事と求められる仕事のズレに苦しみ悩んだ末の結末だと思うと、作品の見え方もかなり違ってきます。, 特に『最後の事件』は、作者のホームズへの複雑な気持ちが現れた、象徴的な作品であったといえるでしょう。, 2人でライヘンバッハの滝に消える、ホームズとモリアーティー教授。この2人の天才は、よく表裏一体の存在として語られます。, つまり、ホームズが悪事に走っていたら、モリアーティー教授のようになっていたということ。思考が似通っているからこそ、モリアーティー教授の一味を追い詰めることができたのです。, 実際、作中でホームズがモリアーティー教授をたたえるような描写も登場しています。パスティーシュ(二次創作)作品や映像化作品などでも、モリアーティー教授はどこかホームズに近い、特別な存在として描かれることがありますね。, 同時に、モリアーティー教授は作者・ドイルをキャラクター化した存在でもある気がします。作中、モリアーティー教授が突如ベイカー街に表れるという、衝撃のシーンが登場します。, 前半でも書いた通り、ドイルは探偵小説ではなく、重厚な歴史小説を手掛けたかったわけです。でもホームズものばっかり売れるから本当にやりたいことが成し遂げられない。, 「ホームズ、いい加減にしろ!」と一番言ってやりたかったのはドイル自身ではないでしょうか。このシーンのセリフには、特にドイルの思いが込められている気がします。, また、今回ホームズは、自分の命を狙うモリアーティー教授から逃げるために旅に出ます。普通、物語の中で逃げるのは悪者のほうで、探偵はそれを追いかけるもの。, でも今回は逆で、ホームズの方が追い回される構図になっています。とことんホームズを不利な立場に置くというこの構図にも、ドイルのホームズへの気持ちが表れているように感じます。, 『最後の事件』は冒頭から悲しげな雰囲気で、ストーリー全体に寂しさがあふれています。, いつものワトスンの生き生きとした語り口はなりを潜め、暗く重々しい解説から始まるのです。すでに冒頭で「最後の記録」という言葉も使われており、ワトスンが語り始めている時点で、もうすでにホームズは側にいません。, 終盤になると「もはや語るべきことも残りずくなになった」(「回想のシャーロック・ホームズ」430Pより)と、ホームズとの最後の思い出がもう残り僅かであることをにおわせます。語り手のワトスンの悲しみと絶望が読者にまで迫ってくる一文です。, シャーロック・ホームズシリーズはミステリ小説ですから、もうだめだと思わせておいて、最後にどんでん返しがあることも十分にあり得ます。だから普通は、「ホームズは結局死なないのではないか」と読者はギリギリまで期待する余地があるものです。, でも、残念ながらこの話にどんでん返しはありません。タイトルもストーリーもどこまでもストレート。これは本当に『最後の事件』として書かれており、ホームズは死んでしまいます。読者はワトスンと共に、この世に突然取り残されることになるのです。, 最大のライバルとの死闘の果てにというヒーローっぽさはありつつも、本当にただ主人公が死んでしまうというお話。名探偵が活躍するミステリ小説で、ここまでストレートな話もめずらしい気がします。, 肝心の死闘については目撃者もおらず、現場の状況から推測される事実がワトスンの口から語られるだけです。, 全体的に、突然友人を亡くしたワトスンの感覚をそのまま体験できるような構成になっていて、人が亡くなる事実に直面した時の無力さを実感させられます。, 今回、記事執筆のため再読しましたが、2020年は本当にいろいろなことを考えさせられる年ということもあり、ワトスンの寂しさや無力感、受け入れがたい気持ちが特に心に迫ってくるように感じました。, 今回はシャーロック・ホームズの短編の中でも一、二を争う問題作、『最後の事件』を取り上げました。, ストーリー全体に暗さがあって、バッドエンドということもあり、私自身はあまり好きなエピソードではありません。, それでも改めて読み直してみると、ストレートなストーリーならではの味わいがあり、通常のホームズ作品とは違った楽しみ方ができるお話だなと感じました。, 執筆当時の作者の心情が反映されることで、同じシリーズの中でも違ったテイストの作品が生まれるというのは、連載ものならではのおもしろさですね。, ミステリ小説を書いているのも一人の人間です。そのことを感じながらぜひいろんな作品を味わってみてください!, ※物語の人物名や固有名詞の表記は、「回想のシャーロック・ホームズ【新訳版】(深町眞理子訳/創元推理文庫/2010年版)」を参考にしました。, 【参考文献】 ・回想のシャーロック・ホームズ【新訳版】(深町眞理子訳/創元推理文庫/2010年版), ・シャーロック・ホームズ完全ナビ(ダニエル・スミス著/日暮雅通訳/国書刊行会/2016年), ・シャーロック・ホームズ大図鑑(デイヴィッド・スチュアート・デイヴィーズほか著/日暮雅通訳/三省堂/2016年), 次回のコメントで使用するためブラウザーに自分の名前、メールアドレス、サイトを保存する。. 映画「Mr.ホームズ 名探偵最後の事件 」ネタバレあらすじとラストまでの結末・動画やみんなの感想を掲載。起承転結でわかりやすく徹底解説しています。Mr.ホームズ 名探偵最後の事件 のストーリーの結末・感想や感想を含んでいるので、観ていない方はご注意ください。 映画「シャーロック・ホームズ」のネタバレとあらすじをご紹介します。また、シャーロック・ホームズを着た悪魔の感想考察や評価など総合的な情報をお届けします。続編も人気なシリーズ原点の作品であり、ミステリー 車爆弾; 殺し屋を殺した男; シャーロックの覚悟; おちゃのま感想; スポンサーリンク. アーサー・コナン・ドイル. 『シャーロック・ホームズの事件簿 (新潮文庫)』(コナン・ドイル) のみんなのレビュー・感想ページです(95レビュー)。 2020.05.01. 1887年から1927年にかけて、60編(長編4、短編56)が発表された。 『Mr.ホームズ 名探偵最後の事件』(ミスター・ホームズ めいたんていさいごのじけん、原題: Mr. Holmes)は、イギリスとアメリカ合衆国で製作された2015年のミステリ映画である。監督はビル・コンドン、主演はイアン・マッケランが務める。 Twitter Facebook はてブ LINE. 突然ですが、あなたは「名探偵」というキーワードで誰を思い浮かべますか? 国内外のミステリ小説にはさまざまな名探偵が登場しますが、その中でもずば抜けて有名なのがシャーロック・ホームズでしょう。 ヴィクトリア朝のイギリスに誕生したこ... ホームズシリーズは様々な面で魅力にあふれ、あらゆる角度から研究される古典ミステリの名作です。 中でもストーリーの核となるのが、ホームズによる鮮やかな推理と危険を伴うハラハラドキドキのアクションでしょう。 そんな魅力を一気に味わえ... 文学は、時代を問わず大衆の娯楽でした。 その中でも恋愛小説は揺るがない人気があり、イギリスではシェイクスピアの『ロミオとジュリエット』や、E・ブロンテの『嵐が丘』といった名作が生まれています。今回取り上げる作家・オースティンの代表作『... ミステリといえば、不可思議な記号やメッセージを読み解く「暗号もの」が人気です。 ホームズシリーズにも言わずと知れた暗号ものがあり、人気知名度ともに高いその作品が、今回ご紹介する『踊る人形』(短編集『シャーロック・ホームズの帰還』収録)... あなたはミステリ小説を読むとき、自分でも推理を楽しみたい派ですか? もしそうなら、今回ご紹介する『まだらの紐』(短編集『シャーロック・ホームズの冒険』収録作品)はオススメの作品です! 何度読んでもおもしろいのがシャーロッ... 「障害のある恋愛」というものは、時代・地域を問わず小説や映画のテーマとなってきました。 中でも「身分違いの恋」というものは、オースティンの「高慢と偏見」、デュマの「椿姫」など、名作の多い分野です。 今回取り上げるのも、その身分違... みなさんは、アガサ・クリスティーの作品を読んだことがありますか? 「名前は聞いたことがあるし、映像化作品も知っているけれど、意外に小説は読んでこなかった」という人も多いかもしれません。 作家として活躍した期間が長かったアガサ・ク... 『踊る人形』のあらすじや感想、トリビアを解説(ネタバレ有)シリーズでは珍しい「暗号もの」の傑作!, 『青いガーネット』のあらすじや感想、トリビアを解説!クリスマスシーズンにぴったりのホームズ短編, 『最後の事件』のあらすじや感想、聖地の解説(ネタバレ有)!モリアーティー教授とホームズの運命は…?, 『まだらの紐』のあらすじや考察、トリックを解説!作者コナン・ドイルが最も愛したシャーロック・ホームズ短編. 【無料試し読みあり】「シャーロック・ホームズ最後の挨拶」(アーサー・コナン・ドイル 日暮雅通)のユーザーレビュー・感想ページです。ネタバレを含みますのでご注意ください。 スポンサーリンク. のネタバレに触れているので、気をつけて! <ザ・どうでも良い前置き> 「シャーロック・ホームズ」に関しては、原作を読んだり、母親と一緒にちょっとNHKでやっていたドラマ. 2020.10.18. スポンサーリンク. Netflix映画「エノーラ・ホームズの事件簿」の公開が9月23日(水)よりスタート。あの有名な探偵シャーロック・ホームズの妹が主人公となる物語です。主演を演じたミリー・ボビー・ブラウンが超可愛いのでお勧めです!あらすじやネタバレ、感想など。 北原 尚彦『初歩からのシャーロック・ホームズ』の感想・レビュー一覧です。電子書籍版の無料試し読みあり。ネタバレを含む感想・レビューは、ネタバレフィルターがあるので安心。 シャーロック・ホームズシリーズ(英: Sherlock Holmes )は、小説家 アーサー・コナン・ドイルの作品で、シャーロック・ホームズと、友人で書き手のジョン・H・ワトスンの織り成す冒険小説の要素を含む推理小説である。. Episode12 Reichenbach Falls. 読書感想文「シャーロック・ホームズの冒険(アーサー・コナン・ドイル)」 2015年08月8日. ※以下、sherlockシーズン3のネタバレを含む 感想記事となりますのでご注意下さい。 舞台を21世紀のロンドンに移した、現代のシャーロック・ホームズ。 シーズン2の最後では宿敵モリーアティと直接対決、 モリアーティは・・・ Episode12 … 「Mr.ホームズ 名探偵最後の事件」名探偵ホームズが、90歳を超えてようやく引き寄せた人生の真実 推理小説史上、または映画史上、はたまたTVドラマ界に名探偵として名を刻むシャーロック・ホームズが、あろうことか、よぼよぼの老人になって画面に現れる。 2020.04.07. 作者コナン・ドイルがホームズシリーズに終止符を打ち、ホームズから離れていた時期があったのです。, 今回ご紹介するのは、ドイルがホームズシリーズを終わらせることを決意して書いた、その名もズバリ『最後の事件』(短編集『回想のシャーロックホームズ』収録)。, ホームズ最大のライバルであるモリアーティー教授との直接対決が描かれ、発表当時から物議を醸した問題作です。, 結婚して開業医となったワトスン。ホームズと事件の捜査に乗り出すことも少なくなり、新聞などで親友の活躍を目にするだけになっていました。, そんなある夜、ケガを負いフラフラになったホームズが診療所に転がり込んできます。尾行や襲撃を警戒するホームズの様子から、ただならぬ事態を感じ取ったワトスン。ホームズは「しばらく一緒に旅に出ないか」と提案し、その驚きの理由を話し始めます。, ホームズは水面下で巨大な悪の一味を捕えるために動いており、あとは警察が作戦を実行してくれるのを待つばかりという状態になっていました。しかし、その一味に命を狙われることとなり、作戦が無事に遂行されるまでロンドンを離れることにしたのです。, ホームズが捕えようとしている一味の黒幕が、悪名高き天才、ジェームズ・モリアーティー教授。ホームズが「犯罪界のナポレオン」と呼ぶ、底知れぬ賢さとカリスマ性を兼ね備えた人物です。, シャーロック・ホームズとモリアーティー教授。2人の天才の直接対決が、事件の数年後のワトスン視点で語られます。発表当時ファンを騒然とさせた問題作を、ぜひじっくり味わってください!, 特権階級出身の彼は、わずか21歳で「二項定理」に関する論文を書き上げ、それをきっかけに英国の大学で数学教授のポストを与えられた天才です。その後「小惑星の力学」という著作も発表し高い評価を得ています。, しかし、謎の黒い噂によって教授職を追われ、ロンドンへ移り住んだ後は、犯罪の道へと突き進むことになりました。, 数学教授としての名声もあり、表向きは上流階級の英国紳士ですが、裏社会では犯罪ネットワークの中心にいる毒グモとして暗躍します。, 影で多くの犯罪に関わりながらも、今回の『最後の事件』で登場するまで、その存在が表に出ることはありませんでした。, ホームズは作中で彼を「犯罪界のナポレオン」と称していますが、実は現実でもそう呼ばれた犯罪者が存在しました。その名もアダム・ワース(1844~1902)。, モリアーティーのモデルには何人もの候補があげられていますが、彼も有力候補の一人です。ロンドンに暮らしながら、巨大な犯罪網を操っていた人物ですが、長い間彼と犯罪を結びつける証拠がでなかったといいます。つまり、モリアーティー教授のように黒幕として暗躍していたわけです。, モリアーティー教授の特異な才能は、作中の外見の描写やセリフにもよく表れています。外見は本当に「THE・悪役」。多くの挿絵でも暗くおどろおどろしい雰囲気が再現されているので、ぜひチェックしてみてください。, ちなみに、彼が元々数学教授であったという設定は、ドイルの苦手科目が数学だったからではないかと言われています。あのアルフレッド・ノーベルがノーベル賞に数学賞を創設しなかったエピソードを思い出すもので、もし本当だとしたらおもしろいですね。, しかし、作中でこれほど印象的なキャラクターであるにもかかわらず、ホームズシリーズの正典の中で彼が登場するのはわずか2作品で、本作『最後の事件』と長編『恐怖の谷』だけ。, 他に彼について触れているエピソードもいくつかありますが、それもわずか5作品しかありません。最大のライバルでありながら、かなりのレアキャラなのです。, 登場回数は少なくても、シャーロック・ホームズを語る上で欠かせない存在であるモリアーティー。現代の映像化作品やパスティーシュ作品でも独特の存在感を放っています。, 設定も人物デザインも作品によって様々なので、その違いをぜひ比べて楽しんでみてください。, 近年は、アニメや漫画の舞台となった場所を巡る「聖地巡礼」が話題ですが、世界中にファンを持つ古典ミステリには、はるか昔からその文化が存在しています。, 現地ではシャーロキアン(ホームズシリーズのファン)のイベントなども行われ、思い思いの仮装をした参加者が集まります。, 写真で見るだけでも大迫力の巨大な滝。ホームズたちがこの場所を訪れた時にあったであろう足場も削れ、形が変わっているのだとか。, 滝の側にはホームズの記念プレートも設置されていますが、たどり着くまでのコースがかなりきついらしく、脚を鍛えてから出かけたほうがよさそうです。, 作中では、スイス・マイリンゲンの地でホームズとワトスンの2人が宿泊した宿「英国旅館(エングリッシャー・ホーフ)」の主人に勧められた名所として登場。, マイリンゲンには、ホームズたちが宿泊した「英国旅館」として正式に認定されているホテル・ソバージュという老舗の宿があり、宿の隣のコナン・ドイル広場ではホームズ座像が出迎えてくれます。, 世界中から集められたホームズグッズや、再現されたホームズの部屋を見ることができる、シャーロック・ホームズ博物館も見どころです。ちなみにホームズはマイリンゲンの名誉市民にもなっているのだとか。, 作者・ドイルも休暇でスイスに滞在した際、実際にライヘンバッハの滝を訪れており、そこで物語の着想を得たとも言われています。, 『最後の事件』の舞台となったことにより、物語の中だけでなく現実世界でも伝説的な場所となった、ライヘンバッハの滝とマイリンゲン。今では世界中から多くのファンが訪れる一大観光スポットになっています。, 1887年の『緋色の研究』、1890年の『四つの署名』という2つの長編作品を経て、1891年から雑誌ストランド・マガジンの短期連載で人気に火が付いたシャーロック・ホームズシリーズ。, 編集部にホームズ宛てのファンレターが届く、ベイカー街にファンが押し寄せるなど、社会現象を巻き起こしました。, 元々ドイルは、より重厚感のある歴史小説を書きたいと思っており、大衆向けの探偵小説の作家として世間に認知されていることには満足できなかったのです。, ホームズが話題になればなるほど、ドイルはホームズにうんざりしていきました。「本来書きたかった作品を書くべきなのではないか」という思いも強くなっていきます。, そんな折、前述したとおり休暇で訪れたスイスで、ホームズシリーズの最後に相応しい舞台に出会ったドイル。迫力の舞台を背景に書き上げた『最後の事件』でホームズに別れを告げ、その後8年ほどホームズからは距離を置くことになるのです。, 次回のコメントで使用するためブラウザーに自分の名前、メールアドレス、サイトを保存する。, 『緋色の研究』のあらすじや感想、時代背景を解説!名探偵シャーロック・ホームズが誕生した記念すべき一作.
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